介護福祉士試験対策のポイント

「介護の基本」の科目の特徴

「介護の基本」は、学習内容量の多い科目です。
そして、その学習内容は、「法制度」、「理論」、「介護実践」など多岐に渡ります。
しかし、学習難易度はあまり高くありませんし、
他の科目と重複したり、関連する内容も多く含まれていますから、
学習しやすい科目であるといえるでしょう。
そして、得点しやすい科目でもあるといえます。

 

「介護の基本」では、介護福祉士という専門職としての倫理、知識、資質について学習します。

介護の基本の試験対策

介護の基本の試験問題は、16問出題されます。
そして、短文事例問題も3問題ほど出題されます。

 

「介護福祉士の役割と機能を支えるしくみ」、
「自立に向けた介護」、「介護サービス」の3項目の出題の可能性は高く、
1〜2問題程度出題されます。

 

また、「介護福祉士の役割と機能を支えるしくみ」では、介護福祉士の義務等、
「自立に向けた介護」では、ICFの概念、
「介護サービス」では、居宅サービスと地域密着型サービスの特徴を、
最低限でも理解しておきましょう。

 

さらに、「介護従事者の倫理」や、「介護従事者の安全」の項目も出題頻度が高い項目なので、
学習しておきましょう。

 

日本介護福祉士会倫理綱領

 

(前文)

 

私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有する全ての人々が、
住み慣れた地域に置いて安心して老いることができ、
そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。

 

そのため、私たち日本介護福祉士会は、
一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、
ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって
最是の介護福祉サービスの提供に努めます。

 

@ 利用者本位、自立支援

 

介護福祉士は、全ての人々の基本的人権を擁護し、
一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう
利用者本位の立場から自己決定を最大限に尊重し、
自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。

 

A 専門的サービスの提供

 

介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研磨に励むと共に、
豊かな感性と的確な判断力を培い、深い洞察力を持って専門的サービスの提供に努めます。
また、介護福祉士は、介護福祉サービスの質的向上に努め、
自己の実現した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。

 

B プライバシーの保護

 

介護福祉士は、プライバシーを保護するため、
職務上知り得た個人の情報を守ります。

 

C 総合的サービスの提供と積極的な連携、協力

 

介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、
福祉、医療、保険その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、
協力して行動します。

 

D 利用者ニーズの代弁

 

介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受け止め、
それを代弁していく事も重要な役割であると確認した上で、
考え、行動します。

 

E 地域福祉の推進

 

介護福祉士は、地域に置いて生じる介護問題を解決していくために、
専門職として常に積極的な態度で住民と接し、
介護問題に対する深い理解が得られるよう努めると共に、
その介護力の強化に協力していきます。

 

F 後継者の育成

 

介護福祉士は、全ての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、
介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。

介護の基本の学習範囲と主な学習内容

介護福祉を取り巻く状況

 

「介護福祉を取り巻く状況」では、「介護問題の背景」について学習します。

 

介護福祉士の役割と機能を支えるしくみ

 

「介護福祉士の役割と機能を支えるしくみ」では、「社会福祉士及び介護福祉士法」について学習します。
この項目はとても重要な項目となるので、
「介護福祉士の義務」の条文を確認し、「秘密保持」や「名称の使用制限」などについても確認しましょう。

 

尊厳を支える介護

 

「尊厳を支える介護」では、「QOL」や「ノーマライゼーション」、「利用者主体」について学習します。

 

自立に向けた介護

 

「自立に向けた介護」では、「自立支援と個別ケア」、「ICF」、「リハビリテーション」について学習します。

 

ICFについては、「障害の理解」の科目でも学習しますが、
特にICFの概念図を理解すること、ICIDHからICFの変遷についても勉強しておきましょう。

 

介護を必要とする人の理解

 

「介護を必要とする人の理解」では、「高齢者や障害者の暮らし」、
「介護を必要とする人の生活環境」について学習します。

 

介護サービス

 

「介護サービス」は重要な項目です。
「ケアマネジメント」や「介護サービスノ種類・特性」について学びます。

 

サービスの種類がたくさんあること、
居宅サービスや地域密着型サービスなどについてしっかり学習しておきましょう。

 

介護実践における連携

 

「介護実践における連携」では、「チームアプローチ」や「地域との連携」について学びます。

 

介護従事者の倫理

 

「介護従事者の倫理」では、「職業倫理」、「プライバシーの保護」について学習します。

 

職業倫理については、「日本介護福祉士会倫理綱領」を確認しましょう。

 

介護における安全の確保とリスクマネジメント

 

「介護における安全の確保とリスクマネジメント」では、
「介護における安全の確保」、「安全対策や感染症予防」などについて学習します。

 

安全対策や感染予防では、利用者の転倒防止や、ノロウィルスの感染拡大防止などについて勉強します。

 

介護従事者の安全

 

「介護従事者の安全」では、健康管理や労務管理について学習します。

 

動労基準法や労働安全衛生法についても学習しましょう。

 

* 介護を必要とする人の理解、介護サービス、介護実践における連携の項目は、
短文事例問題として出題されやすい内容となっています。

介護福祉士の義務など

介護福祉士の義務や責務、禁止事項などは、
社会福祉士及び介護福祉士法に規定されています。

 

@ 誠実義務

 

介護福祉士は、相当する者が個人の尊厳を保持し、
その有する能力及び適正に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、
常にその者の立場に立って、誠実にその業務を行わなければならない。

 

A 秘密保持義務

 

介護福祉士は、正当な理由がなく、
その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
これは、介護福祉士でなくなった後においても、同様である。

 

B 資質向上の責務

 

介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、
相談援助または介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

 

C 連携の保持

 

介護福祉士は、業務を行うにあたり、担当する者に、
認知症であること等の心身の状況その他の状況に応じて、
福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、
福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

 

D 信用失墜行為の禁止

 

介護福祉士は、介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

 

E 名称の使用制限

 

介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない。

 

F 罰則規定

 

秘密保持義務に違反した者は、一年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。

 

介護福祉士の名称の使用の停止を命ぜられた者であって、
当該停止を命ぜられた期間中に、
介護福祉士の名称を使用した者に対しては、30万円以下の罰金に処せられる。

 

G 喀痰(かくたん)吸引等業務

 

介護福祉士は、一定の要件を満たした場合、
保健師助産師看護師法の規定に関わらず、診療の補助として喀痰吸引を行うことができる。

介護従事者の倫理・専門性

@ 介護従事者の倫理

 

介護従事者である介護福祉士の倫理として、
「日本介護福祉会倫理綱領」がある。

 

A 介護従事者の専門性

 

ミラーソンは、介護従事者などの専門職化を推し進めた人物であり、
様々な専門職の特性の定義から共通要件を見出し、以下の6項目を抽出した。

 

  • 体系的倫理として、専門職は、「理論的知識に基づく技能を有している」という特性がある。
  • 訓練として専門職は「訓練と教育を必要とする」という特性がある。
  • 権威として、専門職は「試験によって資格や能力証明が与えられる」という特性がある。
  • 倫理として、「倫理綱領により知識専門家への忠誠は保たれる」という特性がある。 
  • 公衆の福祉という目的として、専門職は「利他的サービス、公共善の達成を目的とする」という特性がある。
  • 専門職団体の組織化として、専門職は「組織づけられている」という特性がある。

国際生活機能分類(ICF)

ICF誕生までの変遷

 

世界保健期間(WHO)は、1980年に国際障害分類(ICIDH)試案を発表し、
障害を3レベルに区分しました。
その後、国際障害分類の「障害のマイナス的側面」に焦点をあてた考え方に対する批判をうけて、
障害当事者の参加を得て検討がなされ、2001年のWHO総会で国際生活機能文類(ICF)に改正されています。
ICFの枠組みは、人間と環境との相互作用モデルとなっています。

 

ICIDHのしくみ

 

ICIDHは、障害のマイナス的側面に焦点をあてた考え方となっていて、
以下の4要素から構成されています。

 

@ 病気・変調
A 機能障害(病気・ケガによる心身の機能の低下を意味します。)
B 能力障害(生活における活動能力の低下を意味します。)
C 社会的不利(通常の社会的役割を果たせなくなることを意味します。)

 

ICFのしくみ

 

ICFは、大きく分けると、以下の3レベルで構成されています。

 

@ 健康状態
A 生活機能
B 背景因子

 

さらに、生活機能は、
「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3要素で構成されていて、
背景因子は「環境因子」、「個人因子」の2要素で構成されています。
つまり、各構成要素が相互に作用しているという考え方です。

 

この生活機能の構成要素は、
ICIDHの構成要素である機能障害を「心身機能・身体構造」に、
能力障害を「活動」に、
社会的不利を「参加」に置き換えたものです。

 

また、ICIDHとは異なり、「活動」や「参加」などのように、
障害をプラス的側面からも捉えている点が特徴的です。

 

生活機能

 

@ 心身機能・身体構造

 

心身機能は、身体の生理機能を意味し、
身体構造は、各器官や肢体(構造部分を含む)の解剖学的部分を意味します。

 

また、心身機能・身体構造のマイナス的側面は、
「機能障害」と捉えられています。

 

A 活動

 

活動は、個人の課題・行為に対する遂行を意味しています。
つまり、マイナス的側面を「活動制限」と捉えた考え方です。

 

B 参加

 

参加は、人生場面や生活への関わりを意味します。
つまり、マイナス的側面を「参加制約」と捉えた考え方です。

 

背景因子

 

@ 環境因子

 

環境因子は、生活機能や障害への外的影響を意味しています。
そして、プラス的側面を促進因子、マイナス的側面を阻害因子と捉えています。

 

A 個人因子

 

個人因子は、生活機能と障害への内的影響を意味します。

問題例

国際生活機能分類(ICF)に関する問題で、問題集に以下のような問題がありました。

 

Q. 国際生活機能分類(ICF)に関する記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

 

@ 能力障害や社会的不利などのように障害を3レベルに区分した考え方である。

 

A 個人因子では、プラス的側面を「促進因子」、マイナス的側面を「阻害因子」と捉えている。

 

B 個人因子とは、生活機能や障害への外的影響を意味するものである。

 

C 活動とは、個人の課題・行為に対する遂行を意味するものである。

 

D 参加とは、マイナス的側面を「参加制限」と捉えた考え方です。

 

正解「C」

 

@ × 障害を、機能障害や能力障害、社会的不利のように3レベルに区分した考え方は、
   国際障害分類(ICIDH)です。 
   国際生活機能分類(ICF)は、健康状態、生活機能、背景因子の3レベルで構成され、
   各構成要素が相互に作用しているという考え方です。
   ですから、@は「×」です。

 

A × プラス的側面を「促進因子」、マイナス的側面を「阻害因子」と捉えるのは、環境因子です。
   ですから、Aは「×」です。

 

B × 生活機能や障害への外的影響を意味するものは、環境因子です。
   ですから、Bは「×」です。

 

C 〇 活動は、個人の課題・行為に対する遂行を意味するものであり、
   マイナス的側面を「活動制限」と捉えています。
   ですから、Cは「〇」です。

 

D × 参加とは、人生場面や生活への関わりを意味するものです。
   そして、マイナス的側面は「参加制約」と捉えます。
   ですから、Dは「×」です。

 

☆ 個人因子と環境因子 ☆

 

・個人因子とは

 

 個人因子とは、生活機能と障害への内的影響(個人的な特徴の影響力)を示す因子です。
 そして、「性別」や「年齢」、「性格」などが含まれます。

 

・環境因子とは

 

 環境因子とは、生活機能や障害への外的影響を示す因子です。
 そして、人生を送っている物的な側面や社会的な側面などが含まれます。